研究課題/領域番号 |
20330154
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (90179630)
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研究分担者 |
明和 政子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00372839)
平田 聡 株式会社林原生物化学研究所, 類人猿研究センター, 主任研究員 (80396225)
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キーワード | 実験系心理学 / 胎児 / 聴覚 / クロスモダル / 母親 |
研究概要 |
視覚の未だ十分に機能しない出生まで、胎児にとって「聴くこと」が、胎外からの情報を取得するうえでもっとも重要な活動となる。本研究は、主として、以下の4点を明らかにすることを目的として実施している。1)胎児は母親の声をそれ以外の声や音と識別することがわかっているが、声によって表現される母親の感情も識別することができるか。2)母親の声の識別は、胎外から届く声のうち母親の声の頻度が圧倒的に多いことが原因と考えられるが、母親以外の他者(父親や祖母)の声が頻繁に聞こえる日常生活があれば、これらの声の識別も生じるか、3)胎児期に識別の生じた対象には、出生後に聴覚一視覚のクロスもダル知覚が生じるか。4)以上で明らかになる胎児一新生児気の視聴覚特性の発達は、ヒトにもっとも近縁なチンパンジーとどのように共通し、どのように異なるか。今年度は第二段階として、昨年度に引き続き、母親と母親以外の他者の声の提示に対する胎児の反応を調べるため、母親の腹部表面にラウドスピーカーを設置し、あらかじめ録画しておいた映像から、母親の声、母親以外の他者の声を発生させた。それぞれ同じ絵本を朗読したり、歌を歌ったりするものとした。これらに対する胎児の反応を、4次元超音波画像解析装置による身体運動と表情の3次元動画像撮影、胎児心拍測定によって記録した。さらに、同じ音声を出生直後、生後2か月および生後3か月に聴取させた。出生後実験の対象児の行動はすべてビデオ記録し、口開けやnon-nutritive suckingの口唇運動や、全身運動、刺激への注視の多寡などを胎児期に得た同一刺激に対する3次元動画像記録と心拍増減とともに現在分析中である。
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