研究概要 |
1.学校規模に関わる事例調査の実施 20年度中には、調査デザインを確定させるための予備調査および一部本調査を行ったが、21年度中には、それらの結果を用いて、調査・分析枠組みを構築し、新たに10校を対象とした学校フィールド調査を実施した。調査においては、教育活動の観察と教員を対象としたインタビューを行うことで、質的側面から学校運営および校務活動と学校規模との関係性を把握し、従来の定量的大規模調査では見逃されてきた側面の分析に努めた。その結果、基本的に各学校は、与えられた学校規模に応じた学校運営を行っており、このとき、学校は適正規模的になる一方、内的・外的要因によってそうした調整に失敗した学校は、非適正規模化するといったように、同じ規模の学校間にもその態様にバリエーションが存在することなどが明らかになった。 2.学校適正配置支援システムの開発 平成20年度に実施した基礎分析の結果をふまえ,平成21年度には,通学距離条件と施設容量条件を与えた場合に、ある自治体内での小中学校の適正配置案を導出する学校配置計画支援システムを開発した。従来、施設の適正配置問題は、特にオペレーションズ・リサーチの領域で展開され、「唯一の最適解」を導出することを指向してきた。しかし、実際の政策立案プロセスにおいては、唯一解というよりも複数案を比較対照しながら計画を立案していく傾向が見られる。そこで、本研究では、複数解の算出を行い、各案の評価を行うことで、計画立案を支援するシステムの開発を行い、実際に同システムを用いて、モデル自治体における結果の算出・評価を実施した。開発したシステムおよびシステムによる算出結果の分析は、学会での口頭発表および論文での発表を行い、配置計画の新規軸を提示するものとして評価を受けた。
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