研究課題
中等教育・職業教育のカリキュラム開発の新たな動向について、海外では、ドイツ、アメリカ及び中国へ渡航して、それぞれ現地調査を行った。国内では、昨年度に引き続いて、関西技術教育懇話会を通じて、大阪府と大阪市における高校(普通科)及び総合高校について、それらカリキュラム編成に関する実情調査を行った。まず、ドイツでは、9月後半に、連携研究者及び研究協力者がヘッセン州、バーデンビュルテンベルク州等にある福祉・介護職養成施設を訪れ、高度化する介護教育カリキュラム・モデルの実際について調査した。看護・医療職と区別される介護職の在り方と関連してカリキュラム編成が検討されている。つぎに、アメリカでは、研究分担者2名が10月初めと2月末~3月初めに分かれて、前者では、テネシー州で開催されたミシシッピーヴァリ技術教員養成会議に参加して理工系総合カリキュラム(STEM)、に関する調査を行った。後者では、カリフォルニア州とケンタッキー州を訪れて、キャリア専門教育に関する専門家会議への参加と総合ハイスクールの実態調査を行った。最後に、中国では、9月後半に研究代表者、研究協力者・補助者がハルビン市(黒竜江省)及び北京市にある高級中学(普通科)と職業高校を訪れ、現在進行中のカリキュラム改訂の内容と実際についての調査を行い、「応試教育」に代わる「素質教育」の特色を知ることができた。国内(関四地方)では、大阪府立高校(普通科総合選択制)及び大阪市立総合高校の教諭を関西技術教百懇話会に招いて、それぞれの高校で編成されているカリキュラムの実際について、その現状をつぶさに知ることができた。新学習指導要領の実施を前に、各高校では特色ある教育課程の編成とその運用で苦慮している。とりわけて、多種・多様な教科・科目を担当する教員の力量形成とそれを支える施設設備及び財政的基盤の問題に直面している。キャリア教育・職業教育の充実が政策的に打ち出されている現在、この政策と現状の乖離は、無視できない改善すべき重要な問題であろう。カリキュラム改革に関する今後の実態調査では、それを支える財政的な基盤の問題について、国内外ともに留意して調べる必要がある。
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追手門学院大学心理学部紀要 第4巻
ページ: 73, 106
和歌山大学教育学部紀要-教育科学- 第60集
ページ: 61, 72
技術教育研究 68
ページ: 32, 37