本研究は、戦後日本の幼児保育の展開を、制度、行財政、理論、カリキュラム、保育実践、保育者の養成と現職研修といった側面から、総合的、実証的に明らかにすることを第一の課題とし、戦後改革による新制度のスタートから高度経済成長期に至る日本の幼児保育を歴史的に跡付けるとともに、日本における幼保二元化政策の形成と特質の解明を行う。また、幼保二元化政策との関わりで常に問題として提起されてきた幼保の一元化や5歳児保育の義務制・無償制、保育者養成と資格をめぐる問題等についても、1930年代から70年代を対象に問題史的アプローチを行い、戦後日本の幼児保育問題の全体像を描き出すこととしたい。これらの歴史的・実証的研究は、日本の幼児保育史研究の進展に不可欠であるばかりでなく、今日の幼児保育をめぐる政策課題を検討する上で、重要な示唆を与えるものとなると考える。
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