研究課題/領域番号 |
20330169
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研究機関 | 中京女子大学 |
研究代表者 |
齋木 喜美子 中京女子大学, 人文学部・児童学科, 准教授 (30387633)
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研究分担者 |
船寄 俊雄 神戸大学, 発達科学部, 教授 (40181432)
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50183942)
森田 満夫 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (80279421)
正置 友子 聖和大学, 教育学部, 教授 (50411939)
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キーワード | 沖縄 / 占領期 / 教育実践史 / ガリ版教科書 / 伊波常雄 / USCAR文書 / 所蔵資料リスト |
研究概要 |
本研究の目的は、沖縄の一教師だった伊波常雄(1931-2007)が40年以上にわたる教員生活の中で蓄積してきた教育史料を中心に、公共図書館所蔵の教育史料を調査・整理の成果を援用することよって戦後沖縄の教育実態を解明しようとするものである。これまでの沖縄戦後教育史研究においては、占領を後背地とした教育運動論、社会教育、教育行政研究においては一定の到達点が見られた。しかし当時教育現場にいた教員や子どもたちの具体的な証言、日常の教育実践史料が乏しく、こうした教育実践史料の欠落は、この分野での研究の隘路ともなっていた。伊波教育史料には戦後初期のガリ版教科書や学習帳、学級日誌の綴りや文集、学級通信、授業指導案等が含まれており、それを有効活用すれば当時の沖縄の教育活動全体を浮き彫りにすることができる。そこに本研究の重要な意義がある。 今年度は、まず史料整理と研究環境を整えることに集中的に取り組んだ。約100箱にも及ぶ伊波教育史料をジャンルごとに分類し、史料タイトル、中身の詳細細目も含めてリストを作成するとともに、劣化した資料の保全を図った。さらに重要な戦後初期の史料についてはマイクロ化を依頼し、今後の利用への道を開いたことが重要な成果としてあげられる。また戦後、とくに占領前期の教育実態を明らかにするため、基本文献の収集と精査を行い、当時の教育についての理解を深めるための研究会を実施した。とりわけ伊波教育資料以外にも散逸している戦後初期のガリ版教科書の調査と複写、新聞メディア等による占領期教育政策の関連資料収集、琉球民政府の「USCAR文書」マイクロフィルムの中から、伊波の勤めていた宮森小学校に関する未完の英文資料、および日本語資料の一部を発掘したことが成果としてあげられる。
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