本研究の目的は、沖縄の一教師だった伊波常雄(1931-2007)が40年以上にわたる教員生活の中で蓄積してきた教育資料を中心に、他の教育史料の調査・整理の成果、聞き取り等を援用することによって戦後沖縄の教育実態を解明しようとするものである。4年間の研究計画は以下の通りである。 (1)資料整理とリストの発行 伊波常雄教育資料を整理し保存するだけでなく、詳細細目を含めた資料リストを発行することで、利用者の便宜を図る。さらに一部マイクロ化によって、貴重な資料の保存を図る。 (2)戦後沖縄、とりわけ占領初期の教育実践の実態調査 伊波資料を中心にしながら他の教育史料を調査し、さらには同時代を生きた同僚の証言等の聞き取りなどを通して、これまでの先行研究では不十分であった「実践」にフォーカスした占領初期の教育の事態を明らかにする。 (3)教育実践と教師のライフサイクル研究 当時の教師たちの教員養成、教員研修等のライフサイクル研究と史料の分析結果を総合し、「子ども」の教育、文化、生活にまで目配りすることによって、戦後沖縄教育実践史論を構築することを目指す。
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