研究概要 |
本年度は研究計画に基づき,次の3点に取り組んだ。(1)シティズンシップ教育に関する教科書・教材等や,EUの教育政策に関する資料・データ・情報等を収集・整理・分析。(2)EUと加盟国の政策実施過程および加盟各国におけるシティズンシップ教育の政策と実態について現地調査に基づく分析。(3)国内の旧東欧圏等の研究者より,EU新規加盟国を中心に90年代の民主化後の社会状況,政策および教育改革の動向等について専門的知識の提供を受け,現地調査を含めて分析すること。 具体的には,本年度はスロヴェニアを中心に,オーストリア,ラトヴィア,ドイツにおいて現地調査を行った。スロヴェニアではクレック教授(リュブリャナ大学),ヴォドピヴェッツ教授(現代史研究所)ほかに面会し,シティズンシップ教育の実態の把握と資料収集を,オーストリアでは議会等によるシティズンシップ教育の動向把握を,ラトヴィアではマイノリティ・スクールを含む学校訪問,EU関係機関や研究機関でのインタビューや資料収集等によってシティズンシップ教育を含む教育政策と実態の把握を,ドイツではヨーロッパ教育の実践等について資料収集を行った。加えて本年度もEUへの視点を明確にすべく,国内の外国籍児童・生徒の教育についてのデータ収集につとめた。 さらに研究会を3回実施し,研究進捗報告・調整および研究成果出版物の構成の検討を行った。また第1回研究会では北山夕華氏(名古屋大学)にイングランドのシティズンシップ教育について,第2回研究会では佐原徹哉氏(明治大学)にブルガリアの国家性についてご報告いただいた。連携研究者の佐久間孝正氏(立教大学)には国内の外国人子弟の教育について,澤野由紀子氏(聖心女子大学)にはスロヴェニア調査と生涯教育政策の分析を依頼した。また坂本昭氏(福岡大学)からはヨーロッパ教育の史的展開に関する研究を中心に全般的な支援を得た。
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