研究課題/領域番号 |
20330172
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 均 京都大学, 教育学研究科, 教授 (50211983)
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研究分担者 |
米澤 彰純 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (70251428)
山田 礼子 同社大学, 社会学部, 教授 (90288986)
杉村 美紀 上智大学, 総合人間学部, 准教授 (60365674)
森下 稔 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (60300498)
秦 由美子 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (30263031)
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キーワード | 留学 / 国際学位 / 外国大学分校 / トゥイング学位 / オフショア・プログラム / 国際通信プログラム / 外部学位 / 高等教育の質保証 |
研究概要 |
本共同研究により、高等教育における世界的傾向としてのトランスナショナル・エデュケーション(教育の成果を認定する機関が所在する国とは異なる国で学習者が受ける高等教育)の最新の動向が各国において明らかになった。イギリスでは2008年には調査された135機関のうち65.2%が同プログラムを提供しており、そのうちの43.6%がアジアで、28.3%がヨーロッパで実施されていた。一方アメリカは外国分校方式に力を入れており、2009年に世界中に設立されていた外国大学の分校は162校のうち78校(48%)はアメリカの大学の分校であった。 またこれらプログラムの展開形態についても情報が寄せられた。すなわち、国境を越えるプログラムの形態としては、フランチャイズ方式、トゥイニング形式、ダブル/ジョイント学位、単位互換協力、通信・遠隔教育などが多く、教育機関進出では、海外分校型、学習センター・サテライト型、提携校ネットワーク型などに多くが分類された。 また各国各地域のトップ伝統的においてはこの形態の国際プログラムへの進出はあまり積極的ではなく、二番手以降の国際的威信の高い大学などにおいて盛んであることが分かった。これらのプログラム成功のマーケティング環境としては、(1)高等教育需要が高いこと、(2)教育収益率(学位の価値)が大きいこと、(3)国内の高等教育が未発達であるか選択肢が不足していること、(4)渡航先国と自国の教育・生活コストの差が大きいこと、そして、(5)渡航先国の言語環境(特に英語)が自国に似ていること、などの要件が明らかにされた。 科研による事業としては、年2回の打ち合わせ会議の開催と、2010年6月の日本比較教育学会(神戸大学)での課題研究IIを本科研のメンバーによって企画・実施した。また同学会の機関誌である『比較教育学研究』第43号において、特集「国境を越える高等教育プログラム」の6編の特集論文を科研の参加メンバーによって執筆した。また本年度において最終成果報告書『トランスナショナル・エデュケーションに関する総合的国際研究』(全228頁)を刊行し、さらにこの報告書の商業出版について、出版社と交渉中である。
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