本研究は、公立学校・教師の「信頼の低下」が言われ、学校教育の公共性が再審され、教育の新自由主義的・成果主義的再編が進む今日の状況を踏まえ、ソーシャル・キャピタルを中核概念とし、初等・中等教育を中心に学校教育の意義・役割・要件とその再構築の可能性について、次の4つの検討課題を中心に、理論的・実証的に考察することを目的とするものである。 (1)ソーシャル・キャピタルの概念・視点及びその教育との関係に関する概念的・理論的検討 (2)学校教育の意義・役割・機能と理念的・制度的要件に関する比較社会学的検討 (3)公教育・公立学校・教育実践の基盤としてのソーシャル・キャピタル=社会資本(社会的ネットワーク・互酬性規範・信頼)に関する実証的研究 (4)国内における優れた教育実践と社会資本との関係に関する事例研究以上4つの課題について、3年目の本年度は主に以下の作業を行った。 (1)文献研究と視察・研究会・学会大会(国内・国際)でのヒアリング・意見交換による理論的検討 (2)全国各地における教育改革・教育改善の取り組みに関する調査(情報収集)と都道府県別・市区町村別データベースの作成作業 (3)第3回調査(Web調査「生活環境と信頼感に関する調査」、2500サンプル、一部パネル調査)の準備と実施(2010年3月) (4)第1回調査「信頼感に関する調査」結果を中心とする成果報告書の作成・印刷(2011年3月)
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