平成22年度には、第一に、前年度末に実施した、教育委員会対象の「次期学習指導要領に基づく部活動の教育課程との関連づけに向けた取り組み状況に関するアンケート」の分析を行い、その分析結果をふまえて、各地の教育委員会や中学校において、具体的な取り組み状況に関するインタビュー調査を行った。第二に、中等教育段階での部活動を中心としたスポーツ・文化活動の背景として、学校外での習い事の状況を確認するアンケート調査を実施した。 その結果、以下のような知見を得られた。 1.これまで教育課程外の活動であった部活動は、保護者や地域社会との関わり方が多様であり、かつその関わり無しには成り立たないケースが非常に多い。また、地理的文化的な特性にも強く影響を受けている。そのため、都道府県、区市町村によって、教育課程との関連づけ方として検討されている点も非常に多様なものであることがわかった。 2.学校外の習い事については、家庭環境や地域特性によって、とくに就学前や小学校段階では大きな違いがあることがわかった。それに対して中等教育段階では、部活動によって、家庭環境や地域特性による格差が縮減されることがわかった。 以上の知見をふまえるならば、部活動の社会的機能については、学校教育の枠を越えて評価する必要がある。今後の部活動のあり方については、学校教育活動の範囲でのみその役割を設定して、教師の指導や生徒の活動を行うだけでなく、社会教育やより広く余暇活動との関わりも意識して、生涯にわたるスポーツ・文化活動の一定の時期を担う社会的活動として捉え直す必要があるだろう。
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