平成23年度は、(1)教育委員会対象のアンケート調査、(2)中学生対象のアンケート調査、(3)体育会所属大学生対象のアンケート調査を実施して、中学校で新学習指導要領が完全実施される平成24年度以降の部活動のあり方を予測することを目的としていた。以上の調査研究から以下の知見を得られた。 第一に、教育委員会対象のアンケートによって、中学校では新学習指導要領で部活動を教育課程と関連づけるよう留意することが求められたが、そのための方針を示したり、制度的な支援をする体制・制度を整えたりしている教育委員会はほとんどなく、個々の学校に任せていることがわかった。本来、学校現場で部活動指導に従事する顧問教員の負担を軽減するために示された学習指導要領の規定は、むしろ顧問教員の負担を増す方向に向く危険性を秘めていると考察した。 また、社会教育施設・社会教育関係団体との連携は、学習指導要領の規定以前から各地で多様に取り組まれ、それを支える制度をもつ教育委員会が一定数あることがわかった。 第二に、これからの中学校部活動は、地域によって社会教育施設・社会教育関係団体との関わり方が異なる多様な実施形態を取ることが予想されることから、岩手県、新潟県、静岡県、鹿児島県を対象に、都市部と郡部の中学生を対象に、部活動と社会教育活動への参加状況を探るアンケート調査を実施した。調査実施時期が24年3月だったため、データ分析は24年度に入ってから行っている。 第三に、中学校・高校の部活動を通した進路指導の結果、体育会に所属する大学生がどのような進路形成と学生生活を送っているかを明らかにするアンケート調査を実施した結果、高校や大学で運動部活動による推薦で大学進学した学生は、大学の学習にあまりついていけていないこと、部活動以外の友人関係が希薄であること、卒業後は当該スポーツとは関わりのない進路を希望している割合が高いことなどが明らかになった。
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