(1)目的 本研究は、教科書や児童読み物についてのさまざまな試みが模索され、また大きな転換点でもあった明治期の文化状況に光を当て、そこでの小学校教科書と児童読み物との相互交渉と断絶の様相を明らかにすることを目的としている。それは、教科書や児童読み物を通して作り上げられた、近代文化の展開の様相を視野に入れつつ、日本近代児童文学史や教科書史を書き換えることでもある。 (2)方法 文献資料の収集とその分析が中心となる。明治期の国語教科書類に大きな影響を与えたアメリカのリーダー類との比較分析、明治期の国語教科書(読本)の系統的な調査とその位置付け、さらには周辺の子ども文化との比較検討を通して、明治期の子どもはどのような知識獲得メディアを通してリテラシーを身につけ自己形成していったのかを、歴史的に探求する。
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