研究課題/領域番号 |
20330186
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三村 真弓 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00372764)
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研究分担者 |
吉冨 巧修 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (20083389)
北野 幸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90309667)
水崎 誠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50374749)
藤原 志帆 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (20381022)
伊藤 真 就実短期大学, 保育科, 講師 (70455046)
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キーワード | 音楽リテラシー / 幼・小・中連携 / 音楽カリキュラム / 音楽科の学力 / 音符・休符・記号 / 小学校音楽科教科書 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続きカリキュラム開発のための基礎的なテータを得ることを研究の目的とした。 まず、小学校学習指導要領・音楽科に示された音符・休符・記号等の知識の習得状況を、中学校・高等学校・大学の生徒・学生を対象として、広範囲に調査した。その結果、小学校学習指導要領で規定されている学習内容が十分に獲得されていないことが明らかとなった。このことは、実際にそれらが教えられていない事実とともに、知識のみの教授が視唱力として定着しない可能性をも示唆した。次に、児童の斉唱時の歌唱能力に関し、小学校1年生~6年生を対象として調査した。その結果、一斉歌唱を行う場合、正確な音高で歌うための手がかりとなる基準音は、ピアノ伴奏の音であると同時に、自分の声でもあることが明らかになった。また、高学年になるほど、自身の音高感が確立していき、アカペラの方が正確な音高で歌えることがわかった。 さらに、現行の小学校音楽科教科書が音楽リテラシーを系統的に獲得できるようなカリキュラムになっているのかどうかを、題材構成や教育内容の分析をとおして検討した。その結果、第1学年から第4学年では、音楽の諸要素や音楽の知識に関する教育内容が多いが、第5学年の後半から第6学年にかけては、音楽の諸要素は激減し、合唱や合奏の表の工夫がくなることがわかった。以上の結果から、低・中学年では教育内容の系統性が見られ、教育内容に合わせた教材が配置されているが、高学年では、教育内容が先行するのではなく、表現のための教材が中心となっていることが明らかとなった。 これらの研究は、音楽リテラシー育成のための音楽科カリキュラムを開発する上で大きな示唆を与えてくれたといえよう。
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