研究課題
小・中学校だけではなく高校においても特別支援教育を構築し、高校生が抱える多様な困難・ニーズへの支援の具体化が早急の課題となっている。公立高校では徐々に特別支援教育に関する取り組みが検討され始めているが、私立高校においてはほとんど未着手の状態である。しかし高校の特別支援教育の実態そのものが不明であり、その解明は不可欠の課題である。本研究では、高校における特別支援教育の現状と当面の検討課題を探るため、(1)近年の文部科学省や都道府県・政令指定都市教育委員会等の高校特別支援教育施策、(2)学界・当事者団体等における高校特別支援教育に関する論議や調査研究、(3)高校現場で取り組まれている発達障害等の特別な配慮を要する高校生への教育実践について整理し、高校特別支援教育の全体的動向を把握した。高校特別支援教育のシステム開発をしていくための検討課題として、以下の点を指摘できる。第一に、高校はその入り口と出口で多様な接続・連携が求められている。中学校と高校の接続の課題、高校以降の進学・就労等に関する進路指導・移行支援の課題など検討すべき課題は多い。高校の場合、入学者選抜試験を経ている等の理由からわが子の障害を認めない保護者も目立つ。しかし障害者手帳の取得や外部専門機関(教育相談・医療・福祉・就労)との連携が特別な配慮を要する生徒の将来を切り拓くきっかけになることから、発達障害者支援センター・就労支援センターなどと連携する必要がある。第二に、特別な配慮を要する生徒の困難・ニーズの実態をふまえて入学試験、欠時数、単位取得、進級・卒業認定の配慮など、これまでとは異なる評価基準の検討や教務規定の弾力的な運用を行う必要がある。そのためには文科省レベルでの法令整備や都道府県・政令指定都市教育委員会によるガイドラインの作成等が必要である。第三に、国・自治体からの財政措置の問題である。高校における特別支援教育支援員や専門職の配置、教員の加配、教職員の研修、学習環境のユニバーサルデザイン化などの体制整備に行政による財政措置は不可欠である。とくに私立高校には特別支援教育推進の経費が国・自治体から支給されておらず、客校の自助努力に任せられている。このことの見直しも不可避である。
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