研究課題
本研究は、自立活動における指導内容の体系化を図り、指導項目の精選と順序性を明らかにすることを目的とする。平成21年においては、本学特別支援教育センターにおいて過去10年間に各研究分担者が行った支援記録をもとに、学習指導要領に示された5区分22項目と,照合させ、その下位項目を検討し認識の発達・スキルの獲得にむけたスモールステップを検討した。個々の事例の実態と支援内容・方法を整理し、データーベース化にむけた資料を作成した。また、教育委員会、特別支援学校との連携協力体制を築き、特別支援学校における自立活動の教育課程上の位置づけ、指導充実のためのニーズについて聞き取り及び質問紙法調査を行った。国立大学附属特別支援学校を中心に教育課程上の自立活動の位置づけと指導の実際について訪問調査・資料収集を行った。これらの結果から自立活動の始動を推進・蓄積していく上で、校内の自立活動専任教諭の活用や校外の専門家・専門機関との有機的な連携の重要性が明らかになった。海外視察としてイギリスを訪問し(2008年11月1日〜10日)、自立活動にあたる領域の指導形態やカリキュラムとの関係についてロンドン市を拠点に調査を行った。自立活動で取り扱う内容(例えば歩行の指導等)以外の学校の教育活動全体にかかわる指導内容(教育課程)はナショナルカリキュラムあるいはその前段階であるP-Scaleで示された指導項目や規準に沿うことが求められており、教育・医療・福祉の専門家及び保護者等が子ども達の実態に応じてナショナルカリキュラムを具体的に運用する具体策(レッスンプラン)を検討する過程が存在していた。その過程で教師の専門職としての質の高さを発揮しつつ他の専門職と連携・協働が進められていることが特徴的であった。
すべて 2009
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福岡教育大学紀要 第58号第4分冊
ページ: 147-158