研究課題
平成21年度においては、本学特別支援教育センターにおいて各研究分担者が行った支援記録をもとに認識の発達・スキルの獲得にむけたスモールステップを、新学習指導要領で示きれた自立活動指導内容「6区分26項目」の視点から再検討した。あわせて、福岡県内の2つの特別支援学校の自立活動に関する研究を進め、学習指導要領の改訂をふまえた研究協議を行った。これらの結果から、自立活動の指導を推進・蓄積していく上で、具体的な指導内容体系表に示された下位項目の活用の前提として、教育課程上の位置づけの明確化と個々の児童生徒の学習課題に対する校内での共通理解が不可欠であり、校内の専任部の役割の重要性が明らかになった。海外視察として(2009年9月)、自立活動の視点からアメリカにおける個別の指導計画(IEP)の枠組みに焦点を当て、IEPが特別支援学校に限らずインクルーシブな教育環境でも実施されているボストンの現状について、聾学校における言語発達段階に基づく手話指導、学習障害のためのチェックリストを活用した個別指導、視覚障害児を対象とした臨床サービスのほか、第二言語としての英語指導の実態を視察した。これらから、各障害特性をふまえた指導項目と感覚運動統合の項目、さらにソーシャルワークの項目を関連づけた指導プログラムの有効性が示唆された。また、いずれの指導においても、指示の個別化に留意しながら学習進度を視覚的に確認できて意欲を高められるような工夫、共同での学び合いの場作りを通した自尊感情の育成が重視されており、自立活動における個別の指導の充実とともに集団の場とリンクさせていく指導が重要であると考えられた。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件)
福岡教育大学附属特別支援センター紀要 第2号
ページ: 55-63