研究課題
多重ゼータ関数の解析的な性質については、Mordell-Tornheim型の多重ゼータ関数を主として考察した。これは数年前に研究代表者が導入した関数で、次第に他の研究者からも注目されつつあるが、今年度は特に三重の場合について詳細に研究し、その特殊値の表示式や値の関係式、関数関係式の導出、解析接続、特異点集合の決定などの成果を得た。また分子に指数因子や指標を載せたMordell-Tornheim型三重L関数も考察して類似の結果を得た。これらはより一般のMordell-Tornheim型多重ゼータ関数の理論への礎石となるべき研究である。また数論的な性質に関しては、Euler-Zagier型の多重ゼータ関数の極めて広いクラスの関係式を産み出す、いわゆる二重シャッフル関係式の理論が、wittenゼータ関数の部分分数分解によって説明できることを発見した。このことからさらに、値の関係式としての二重シャッフル関係式を含むような新しい関数関係式が導出できることにもなった。さらにまた、Barnesの多重ゼータ関数の関数等式を用いて、その負の整数点での値の表示式から、古典的なRamanujanの関係式や、双曲線関数を各項に含むような無限級数のBernoulli多項式による表示式など、一連の整数論的な表示式が統一的に得られることも発見した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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