研究分担者 |
吉田 敬之 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40108973)
森脇 淳 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70191062)
池田 保 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20211716)
加藤 文元 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50294880)
伊藤 哲史 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10456840)
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研究概要 |
Henrik Russell氏と共同で,高次元代数多様体の「一般アルバネーゼ多様体」とモジュラスに関する研究を行った.代数曲線とその上の因子に対して,モジュラス付き一般ヤコビ多様体が定義され,Rosenlicht-Serreにより深く研究されており,様々な応用がある.私たちの研究はその高次元化にあたる.私たちは,複素数体上の高次元代数多様体のモジュラス付き一般アルバネーゼ多様体について,そのホッジ理論的な構造を明らかにした.また,正規代数多様体から可換群多様体への有理写像に対して,そのモジュラスを定義し,性質を調べた.私たちの研究では,モジュラスを定める因子は重複度を持っていてもよく,一般アルバネーゼ多様体が加法部分を持つ可能性がある点に特徴がある. また,中山能力氏,臼井三平氏と共同で,中間ヤコビ多様体の退化や,混合Hodge構造のモジュライ空間のコンパクト化の研究を行った.代数多様体の研究において,代数多様体の族から定まるホッジ構造の変動の研究が大切である.私たちは,対数的幾何学の考え方を用いることで,穴あき単位円盤上のホッジ構造の変動から定まる中間ヤコビ多様体の族を,穴のあいていない円盤上の「対数的中間ヤコビ多様体」ととらえることで,その構造を研究した.証明では,中山氏,臼井氏との以前の研究で得られていた,多変数版のSL(2)-orbit定理が重要な役割を果たす.また,応用として,ホッジ理論的に定義されたある種の関数の零点集合が解析的であるという結果を得ることができた.私たち結果を特別な場合に適用することで,Brosnan-Pearlsteinによるadmissible normal functionの零点集合に関する定理の別証明も得られる.私たちの結果は,応用上も興味深いものであり,今後の研究の進展に役立つものであると期待している.
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