研究課題/領域番号 |
20340008
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋田 利之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (30279252)
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研究分担者 |
大本 亨 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20264400)
吉田 知行 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30002265)
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キーワード | 幾何学 / トポロジー / 特性類 / 離散群 / 分類空間 / 写像類群 / 平坦束 / 線型表現 |
研究概要 |
有限群の線型表現に対し、離散群の分類空間上に平坦束(flat bundle)が定まり、平坦束の特性類は有限群のコホモロジー類を与える。また、有限群の多様体への作用に対し、接束のBorel構成(ホモトピー商)の特性類を積分することにより得られる同変特性類も有限群のコホモロジー類を与える。本年度は主に、平坦束の特性類が満たす性質の類似が、曲面への作用から得られる同変特性類(森田-Mumford類)に対してどのくらい成り立つかを調べた。以下に具体的に記す。 1.有限群Gの線型表現の同値類全体からGの表現環が得られ、Gの有限集合への作用の同値類全体からBurnside環が得られる。本研究では、まず、有限群Gの曲面への作用全体に適切な同値関係を定義し、同値類全体にGrothendieck構成(あるいは群完備化)を施すことにより、作用の全体を代数的に記述する可換群を構成した(得られた可換群を仮にA(G)と記す)。更にGからA(G)への対応がMackey函手となっていることを示すことにより、A(G)がBurnside環や表現環と類似の性質を満たすことを明らかにした。A(G)の構造の解明は今後の課題である。 2.Gの曲面への作用に対して森田-Mumford類を対応させる対応が、A(G)からGのコホモロジーへのMackey函手の自然変換となっていることを証明した。これは平坦束の特性類では成り立たない性質で、森田-Mumford類が有限群のコホモロジーの立場から見ても重要な研究対象であることを示唆している。 3.本研究のテーマの1つであった整係数Riemann-Roch公式に関する予想は、一般には成り立たないことがIb Madsenによって証明された。Madsenの証明では具体的な反例は与えられていない。そこで本研究では1,2項の結果などを用いて具体的な反例を構成した。
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