研究概要 |
今年度、実施計画に基づき行った研究による成果は次の通りである。 1.閉リーマン面から弱ケーラー条件をみたす複素フィンスラー計量があたえられた複素多様体への写像に対して、コーシー・リーマン作用素に付随して自然なエネルギー汎関数が定義され、その汎関数の臨界点として、複素フィンスラー多様体への一般化された調和写像が定義される。しかし、このエネルギー汎関数は、実リーマン多様体間の写像に対して、ディリクレ積分の一般化として定義されるエネルギー汎関数とは様相が異なり、下半連続性もつかどうか、また凸性をもつかどうか、は自明ではない。 立川篤教授(東京理科大学)との共同研究により、コーシー・リーマン作用素に付随して定義される自然な汎関数が、多重凸性をもつこと、およびその結果として下半連続性をもつことを見出した 2.前年度の研究により、2次元球面の単位接束上に自然に定義される定曲率計量が、全接束上に定義される一般化されたチーガー・グロモル計量から、誘導計量として実現されることを証明した。今年度は、この結果の負曲率版として、2次元双曲平面の単位接束上に自然なローレンツ計量が、全接束上に一般化された不定値なチーガー・グロモル計量を定義することにより(この概念はこの研究により見出された)、誘導計量として実現されることを証明し、プレプリントしてarXivに発表した。(M. Benyounes, E.Loubeau and S.Nishikawa, Generalized Cheeger-Gromoll metrics and the Hopf map, arXiv : 0808.1644v2[math.DG]10Feb.2010)
|