研究課題/領域番号 |
20340011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 恭司 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (20012445)
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研究分担者 |
柏原 正樹 京都大学, 数理解析研究所, 特任教授 (60027381)
高橋 篤史 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (50314290)
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キーワード | 原始形式 / 無限次元リー環と表現 / 周期写像 / 増大函数 |
研究概要 |
本年度の交付申請に基づき説明する。 1.無限次元リー環について:斎藤義久氏と共同研究セミナーを4-7月に開催しその中で楕円リー環、カスプリー環を含むリー環の最高ウェイト表現論を整備した。特にChevalley基底の構成の為必要なイデアルの存在、表現加群の平坦性の問題等更に詰める課題も明らかになった.現在それ等を執筆中である。 2.$A_{\fracl}{2}\infty}$型及び$D_{\fracl}{2}\infty}$型の超越函数を変形する事を考えた形式的にベキ級数で変形するのではなく、シュワルツ-グロタンデイクの核型空間を用いる事により小平-スペンサー型の変形理論を建設するのが自然である事が分ったが,前年度研究したスペクトル理論(文献[2])との関係をはっきりさせるのは課題として残った。 2'.$A_2,A_3,B_2(=C_2),G_2,C_3,D_4$型の例外的な原始積分の研究が大幅に進んだ。特にそれ等の間のヒエラルヒー関係と周期の関係等これ迄考えられてなかった現象がみつかり、現在執筆中である。 3.デイスクリミナントの補集合の基本群について石部正氏との共同研究を続けこれ迄の成果は文献[1]に公表した.引き続き楕円型の場合の研究を行っている。 4.熱力学的極限函数の研究に於いて幾つか大きな進展があった。i)従来考えられていたモノイドより更に広いモノイドライクと言う概念を導入する事により、ダイマーモデル等の箙の表現も取り扱える事が分り現在理論を書き換え中である、ii)極限函数の剰余表示の為に使われた増大函数に対する反級数の理論が独立した理論となった(文献[3])、iii)増大函数の逆転函数をモノイドの閉じた言葉で述べる事が出来、その表示が種々のゼータ函数のオイラー積表示と関係等が見えて来た.現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.については予定通り進行したが、イデアルの存在、平坦性等の課題が浮上して来た。 2.については、変形理論としては従来にない面白いものになったと思うが、小平スペンサー理論が未完である。 2'.については非常に興味あるかつ重要と思われる具体例を与えており予定外の進展と言える。 3,については,当初目的とした楕円型の基本群が予想以上に難しく,現在足踏みをしている。 4.については、予想以上に大きく進展しつつ有り新たな理論の誕生が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はないが、夫々の力点は研究の進展に応じて変化する。 1.については当座、これ迄の結果をまとめた論文の完成に集中したい。 2.核型空間代数の上でのドラム理論を建設する事により小平スペンサー理論を作りたい。 2'.非常に興味ある例なので引き続き計算を続行する。 3.これ迄、基本群の解明にザリスキ.ヴァンカンペン法を無反省に用いていたが何らかの方針の練り直しが必要である。 4.引き続きi),ii)及びiii)で述べた方向で計算を進めるとともに、曲面の基本群等のボアンカレ双対性が有るものについて,極限函数の空間の中での固定点の研究を開始したい。
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