昨年度に証明が一応完成したリーマン面のモジュライ空間のコンパクト化とその上の普遍退化族の構成について、いくつかの研究集会で講演し、同時に短報よりは詳しい論文にまとめた。この論文はストラスブールの数学研究所からの研究集会報告集で出版される予定である。(すでに受理されている。)この論文のレフェリーとのやり取りの中で、昨年度は不十分だった点が明らかとなった。すなわち、オービフォールド上のファイバー空間の概念を明確にする必要が生じ、それを明確にした。また、そのようなファイバー空間の間の「プルバック・ダイアグラム」の定式化を行った。モジュライ空間の境界として付け加えるべきストラータのまわりの近傍として、「サブモジュライ空間」の概念を明確にし、それらが実際にモジュライ空間の境界を被覆することの厳密な証明を得た。関連するべつの話題として、フェルマー曲面の「軸性ファイバー空間」についての論文を東京工業大学の増田一男氏と共同研究を行い、最後まで計算を仕切った。この成果について、2月から3月にフランスのストラスブール大学を訪れ講演をした。また、スペインのモンテシノス教授と永い間共同研究して来た成果が、ドイツのシュプリンガー・フェアラーク社のレクチャーノート・シリーズに出版されることが決まった。1月10日から13日まで広島大学にてシンポジュームを開き、有益な研究連絡が出来た。
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