本年度は以下の研究をおこなった。1は徳重と前原の共同研究、2-4は徳重、5は前原によるものである。 1.三角形ではない任意の平面凸フレームに対して、それによって固定される四面体があることを証明した。(Imre Barany氏と徳重、前原による共同研究)その結果については論文にまとめて投稿中であり、京都大学での研究集会で結果の報告をおこなった。 2.前年に引き続き、Erdos-Ko-Rado型の不等式の拡張について研究した。複数の集合族が交差する状況で集合族のサイズの積に関する不等式を証明し、J.Comb.Theory (A)に論文が掲載された。Mark Siggers氏と共同で交差族であってかつ補集合のつくる集合族も交差しているものについて、サイズを評価する不等式を証明し、論文にまとめて投稿中である。Peter Frankl氏と共同でshadowを評価する新しい不等式を見つけ、これを利用して交差族の研究を開始し、一部の成果については龍谷大での研究集会で報告した。 3.ランキングパタンの個数を数え上げる問題に関しておこなった研究結果(紙屋英彦氏、竹村彰通氏との共同研究)について高知大、およびGyeongju(韓国)の研究集会で報告した。これは超平面配置の応用である。 4.中上川友樹氏と共同でおこなった格子経路数え上げの研究論文の改訂をおこなった。 5.(1)多面体的曲面においては、その頂点、辺がすべて使われるような鋭角三角形分割が常に可能であることを示し、(2)そのような分割に必要な鋭角三角形の最小個数について、多面体的曲面の辺数、最小の面角、頂点からそれに接続しない辺までの測地距離の最小値、最長辺の長さを用いる評価を与えた。
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