研究概要 |
本年度は、以下の研究を行った。 徳重は、前年度に引き続き、(1)完全グラフの二着色に関するラムゼー型問題についてPeter Frankl, Mitsuo Kato, Gyula O.H. Katonaとの共同研究を行った。その結果、指定したkに対して、単色kクリークの個数がどちらの色も同数程度で、かつ最大となるような着色方法がどのようなものであるかを漸近的に決定した。この結果についてはスペインで行われた国際研究集会において発表した。 また(2)グラフの独立数をその隣接行列の固有値から評価するHoffmanの上界を応用して、互いに交差する集合族に関するErdos-Ko-Rado型不等式を得、この結果について名古屋大、Kyungpook国立大(韓国)、龍谷大等で発表した。さらに(3)上記の問題について乱歩の原点回帰確率を用いて評価する手法でも取り組み、これについてMark Siggers, Sang June Leeとの共同研究を行った。 前原は、(4)2つの交わらない円A,Bの間に挟まれたn円のシュタイナー環について、n円の曲率(半径の逆数)の和を円A,Bの曲率とnで表す公式を与えた。また、互いに接する3つの球とこれらに接するSoddyのHexletに関して、同様な公式を与え、さらに他の特殊な球面配置2種類に関しても類似の公式を与えた。 また(5)ユークリッド空間内の有限点集合Xが、ユークリッド空間内の格子点の集合と合同であるためには、(i)X内の2点間の距離の平方が整数であること、(ii)Xの任意の3点について距離の平方の和が偶数となること、が必要である。実は、点集合Xの次元が5以下なら、条件(i)(ii)はXがユークリッド空間内の格子点の集合に合同となるための十分条件であり、Xの次元が6以上の場合はそうでないことを示した。
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