研究概要 |
本研究は(1)主双対内点法の情報幾何学的構造の解明;(2)情報幾何による数値的に頑健で優れた内点法の開発;(3)情報幾何学的接近法による大規模ガウシアングラフィカルモデル推定への挑戦からなる.特に(1)と(2)について研究を進めた.以下の部分課題ごとに行った研究と成果について記す. (1)主双対内点法の情報幾何学的構造の解明:平成20年度に証明した,対称錐上の線形計画に対する主双対内点法の反復回数の情報幾何的表現は,近傍の大きさを0に近づけた時に成立する漸近的なものであるが,大規模な半正定値計画問題で数値実験を行い,反復回数が積分値により非常に良く表現されていることを確認した.これらの成果を2編の論文:,S.Kakihara,A.Ohara and T.Tsuchiya: Curvature Integrals and Iteration Complexities in SDP and Symmetric Cone Programs,S.Kakihara,A.Ohara,and T.Tsuchiya: Curvature Integrals and Iteration Complexities in SDP and Symmetric Cone Programsにまとめて投稿した. (2)情報幾何による数値的に頑健で優れた内点法の開発:一般化GKYP補題による制御のフィルター設計問題を例題として取り上げ,主問題と双対問題のImage表現とKernel表現を入れ替えた表現を用いることにより,記憶領域等が節減でき,従来解けない問題が解けることを確認した.また,この例題が正則性を満たさない悪条件問題であるため,正則化を行って解くことを試みた結果,その有効性が示唆された.
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