研究課題/領域番号 |
20340035
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
八木 厚志 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (70116119)
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研究分担者 |
長井 英生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110848)
笠井 秀明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00177354)
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キーワード | 散逸系 / 力学系 / アトラクタ / 確立微分方程式 / 拡散方程式 / 自己組織化 |
研究概要 |
23年度は、数値計算・シミュレーションと確率微分方程式モデルの大域的解挙動を調べることを中心に研究を進めました。 前者では、不連続有限要素法とRosenbrock Runge-Kutta法を組み合わせて用いて、移流・反応・拡散方程式に適合した新しい数値計算スキームの開発に成功しました。この成果は平成24年3月に早稲田大学理工学部で開催された日独シンポジウム"Evolution Equations, Topics and Applications"において招待講演として発表しました。またその応用の一つとして、腫瘍型血管新生モデルについて新しい数値計算結果を得ることができました。森林動態モデルについても、森林境界がどこに出現するかについて新しい知見を得ることができました。その成果は、平成24年3月岡山理科大で開催された研究集会「数値計算・数値解析と逆問題」で発表しました。 後者では、ブラウン運動に基づく白色ノイズを組み込んだ捕食・被食モデル、白金表面上の吸着分子誘導化学振動モデル、森林動態モデル、Boidモデルをそれぞれ設定しその解の大域的挙動を解析するとともにノイズが与える影響について調べました。その成果の一部は学術論文として発表しました。 この他にも、平成23年9月には大阪大学において国際研究集会「発展方程式とその応用」を開催し課題研究についてLe Huy Chuan講師(ハノイ大科学校)を含む国内外の研究者と情報交換と討議を行いました。また、平成24年1月にはGianluca Mola講師(ミラノ大)を招聘し、森林動態モデルについての共同研究を行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無限次元確率力学系にアトラクタを構成する課題について、鍵となる時間的非斉次力学系に対するアトラクタ構成法が開発できました。移流・反応・拡散方程式につてそれら3つの効果がもつ特性を生かした新しい離散化スキームの開発ができました。走化性モデルを始めとする様々な自己組織化モデルについて、数値シミュレーションにより制御パラメータの変動と出現パターンについての関係性が明らかになりつつあります。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、本研究プログラムの最終年度になります。同年度は、それまでの成果を踏まえて数値シミュレーションに力を注ぎます。特に、Brown運動に基づく白色ノイズを組み入れた大腸菌の集合パターン形成モデル、腫瘍型血管新生モデル、森林動態モデル等々を設定し、数値計算により「ゆらぎ」が及ぼす解の挙動への影響について研究する予定です。また、本研究プログラムを通して得られた成果について総括的に整理し纏めたいと考えております。
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