研究概要 |
非線形楕円型方程式に関してはexpanding tubular領域における正値解の多重性の研究を行った.この問題は従来,領域が対称性をもつ円環領域の場合および,極限問題(帯状領域での非線形楕円型方程式)の解の一意性および非退化性の仮定の下での考察されている.特に後者は空間次元が2のとき仮定がみたされていることが知られている(Dancer-Yan(2002)). ここでは対称性および極限方程式の解の一意性,非退化性の仮定をおかずにmulti-peak解の存在を議論し,領域が拡張してゆくと共に正値解の個数が無限大へと増加してゆくことを示した.この結果はすべての次元Nで解の存在とその個数の増加を保証し,Dacer-Yanの結果を拡張している.ここで用いられている方法は昨年度までに非線形シュレディンガー方程式に対して開発した無限次元空間での局所的なdeformation理論をさらに発展させたものであり,従来Lyapunov-Schmidt法を用いて研究されている様々な問題に適用でき,さらなる発展が期待される. ハミルトン系に関しては天体力学に関連する問題に関してはあまり進歩が得られなかったが,forced pendulumに対する特異摂動問題についてはhighly oscillatory解のadmissibleなプロファイルを決定し,さらに与えられたadmissibieなプロファイルをもつ解の構成に成功した.ここでプロファイルはadiabatic invariantに関連した関数により記述され,それはある種の微分積分方程武をみたしている.現段階では証明は変分法により変分構造を必要としているが,このような結果は変分構造のない問題に対しても成立することが期待され,今後のさらなる発展が望まれる.
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