研究概要 |
(1)重力崩壊型超新星の親星である大質量星の進化過程の研究 大質量星の進化計算コードの高速化を行い、それを用いて、大質量星の質量放出物質の化学組成を系統的に調べた。また超新星爆発機構の解明をめざし3次元磁気流体計算コードを開発し大質量星の重力崩壊計算を行った。また、宇宙の最初の星の成長、進化に対する暗黒物質対消滅の影響を調べた。 (2)超新星爆発でのダスト形成と進化過程の研究 重力崩壊型の超新星のサブタイブであるIIb型超新星爆発でのダスト形成と超新星残骸中でのダストの進化計算を行い、ダストのサイズ、存在量、熱輻射量の時間進化を求め、IIb型超新星爆発であると同定されたCas-A超新星残骸の観測結果が我々が開拓したダスト形成・進化モデルで矛盾なく再現出来ることを示した。また、SpitzerやAKARIによる若い超新星残骸の観測結果から残骸中に存在するダスト量や化学組成を明らかにした。 (3)ダストの存在を考慮した銀河形成・進化の研究 ダスト供給源としての超新星の役割を明確にするためには、ダストが銀河形成・進化に与える影響を考慮したモデルを構築し、観測結果と比較することが必要である。そのための系統的な研究の一貫として、Λ-CDMモデルに基づく銀河の形成・合体シミュレーション、銀河構造形成モデルの構築をすすめた。また、宇宙初期の銀河形成に関して,超新星爆発によるダスト生成と破壊を考慮したモデルを構築し、z=20からz=6という宇宙の早期における銀河形成進化を調べたところ,超新星のreverse shockによるダスト破壊が非常に効果的であり,銀河の星形成に大きな影響を与えることを示した。また、星の種族合成計算に基づいてz~1の高赤外光度銀河の多波長測光データーから銀河中の金属量とダスト量を推定した。 以上の結果は学会等で発表し、その一部は学術雑誌に投稿・掲載された。
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