研究課題/領域番号 |
20340041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須藤 靖 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90183053)
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研究分担者 |
佐々木 伸 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (80262260)
北山 哲 東邦大学, 理学部, 准教授 (00339201)
吉川 耕司 筑波大学, 数理物質科学研究科, 講師 (70451672)
山崎 典子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (20254146)
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キーワード | 宇宙物理学 / X線天文学 / ダークバリオン / 銀河団 / 軟X線分光 |
研究概要 |
本年度は、ダークバリオンの最有力候補であるWarm/Hot Intergalactic Medium(WHIM)の酸素輝線、吸収線による観測方法の検証を行った。まずWHIM検出の妨げになる様々なノイズ(銀河による前景放射、光子数が少ないことによる誤検出、酸素以外の輝線の混入)からWHIM由来の信号を取り出すことができるのかどうかを、宇宙流体シミュレーションを用いることで検証した。また、これまで吸収線によるWHIM観測はマイクロカロリメータ程度のエネルギー分解能を仮定していたが、次世代衛星に搭載予定のさらにエネルギー分解能の良い回折格子による観測によって、速度分散等のWHIM内部の物理量を測定すること、または制限をつけられることを示した。これらの結果はWHIM観測を目的とした次世代X線衛星の最適な設計に示唆を与えることができるものである。 一方、我々が理論的に提唱してきた銀河団ガスの温度構造と揺らぎに対する解析モデルである対数正規分布について、まず、光子数によるノイズの影響を受けない特定の銀河団のみで観測的に検証することができた(Kawahara et al.2008)。そこで、光子数の比較的少ないデータに対して、ボアソンノイズの影響を考慮することのできる方法を開発した。これにより複数の銀河団で対数正規モデルの検証とモデルバラメタを求めるための解析が可能になった。その結果、複数の銀河団で、対数正規分布モデルが現実にもよい近似として実現していることを発見した。これは対数正規モデルの普遍性を示しているという点で重要な結果である。これらの結果は現在論文としてまとめている段階である。
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