研究課題
本研究は、次世代の高感度な近赤外高分散分光器(WINERED)を観測用に完成させ、実際に小中口径の望遠鏡に取りつけてSwift/GLAST/GBMのガンマ線バーストのフォローアップ観測の体制を構築することを目標としている。WINEREDの最大の特徴は、目標とするサイエンス(高赤方偏移の銀河間物質の吸収線分光)に必要な波長域(0.9-1.4ミクロン)に特化した高感度な高分散分光器を、非冷却でコンパクト兼可搬性のある安価な光学系で実現することにある。最終年度である第3年度は、冷却クライオスタットを製作し、その性能を室内実験で確認した。これにより検出器以外の光学系、周辺光学系および機械系を装置として完成させ、年度末に一式を、初期の長期試験観測を行う京都産業大学神山天文台に輸送した。しかし、使用を予定していた試験用の検出器が予想外に性能劣化していることが判明したため、将来の安定運用観測のために購入をすすめていた新しい高感度検出器をインストールすることとし、そのため開発を1年遅延する必要が生じた。そこで繰越を行い、第4年度に京都産業大学神山天文台実験室において装置の調整をすすめた。また、第3年度末に調達した波長1.7umカットオフのHAWAII2RG高性能赤外線検出器(2048x2048素子)のクライオスタット内での試験をすすめ、所定の低ノイズ性能が出ていることを確認した。一方で、京都産業大学神山天文台のナスミス焦点における設置・観測体制の整備をすすめた。また、イマージョングレーティングの開発については、米国ローレンスリバモア研究所において、溝加工の詳細のパラメータを決めるR&Dをすすめた結果、問題となっていたゴーストなどの消去に成功した。開発全体に平行して、本観測装置の対象である関連した広い天文学分野の観測研究をすすめた。今後、検出器込みの装置全体の調整をすすめ、ファーストライトを次年度5月に予定している。それにあわせて、京都産業大学神山天文台におけるWINEREDによるガンマ線バーストフォローアップ観測の体制の整備をすすめつつあるが、その経験をもとに約1-2年後から海外の4mクラス以上の望遠鏡に移設し、本格的なモニター観測をスタートさせる。
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