本研究では、大学VLBI連携観測の拠点である山口32mに22GHzの受信システムを搭載して大学VLBI連携の研究能力を高め、さらに東アジア観測局という大きな枠組みへ研究を展開することを目標とする。 平成20年度は受信機の製作に専念した。22GHz帯の受信機を製作することは、基本的には「枯れた」技術であり、共同研究者から多くのアドバイスをもらいながら作業を進めることができた。受信機は、山口32mの厳しい設置条件に適合するよう、設計を入念に行った。そのため製作が年度末となったが、目標とした次の機能を付与した受信機の製作ができた。 ・山口32mの給電システムに適合し、設置可能な大きさ・重量である。これは山口32mの運用に関する極めて重要な点であり、設計時に特に留意した点である。 ・左右2円偏波同時受信が可能である。これは将来の東アジアVLBI観測網・スペースVLBI観測に必須の機能であるが、未整備の観測局が多い。山口32mの意義の一つとなる。 ・受信機単体の雑音温度は120K未満、システム雑音温度は150K未満(試験はこれから)。 ・バイアス制御、温度モニタなどの機能を持つ。 平成20年度の研究により、まず単体の製作という当初の目標をほぼ達成した。本研究の最終目標「東アジア観測局との試験観測を実施し、将来の東アジア観測網の中核的役割を果たす」に対し、平成20年度の研究成果はその第一歩として十分な意義を持つ。
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