研究概要 |
安定線から離れた原子核中で強く束縛されたこの研究では、陽子と中性子の比がアンバランスな不安定核においてのみ実現される非常に強く束縛された内殻中性子、特に1s1/2軌道の中性子、の中性子密度分布半径を、(p,pn)中性子ノックアウト反応による運動量分布測定のフーリエ変換から求め、(p,2p)陽子ノックアウト反応によって得られた内殻陽子密度分布半径の収縮現象が中性子に対しても見られるかどうか比較する事を目的とする。この研究により、不安定原子核の芯部分の強く束縛された中性子・陽子の密度分布が、中性子・陽子数によってどのように変化するかという、これまでにない情報が得られる。 この実験研究では、加速器施設から供給される大強度の原子核ビームを陽子標的に照射し、反応から実験室系約40度方向に放出される20-200MeVのエネルギーを持つ陽子と中性子のエネルギーと方向を測定する必要がある。電荷を持たない高速中性子の測定は難しく、中性子検出器の性能と検出効率が重要である。この目的の為に、有効領域が水平2m、垂直1m、厚さ方向に4分割した40cm厚のセグメント化した大型中性子検出器を建設中である。予算の制限から検出器の主要素であるプラスCHックシンチレータを2年度に分割して購入した。ライトガイドの製作、シンチレータ、ライトガイド、光電子増陪管の接着を行い、アルミフォイル、黒シートで遮光作業を行った。64本の検出器を載せる架台を製作し、架台上に検出器を設置した。信号や高圧の配線も行い、中性子検出器本体としては実験に使用できる状態になっている。
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