研究課題/領域番号 |
20340047
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青木 慎也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30192454)
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研究分担者 |
石井 理修 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (40360490)
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キーワード | 格子量子色力学 / 核力 / 数値シミュレーション / 波動関数 / テンソルカ / ハイペロン / 中心力ポテンシャル / エネルギー依存性 |
研究概要 |
本年度の研究成果は以下の通りである。(1)クエンチ近似の格子QCDの数値計算で、核力ポテンシャルのクォーク質量依存性を計算した。クォーク質量を小さくしていくと、近距離での斥力芯の大きさが大きくなり、それに対応して中距離の引力が深くなりその到達距離も大きくなることが分かった。また、散乱長はクォーク質量を小さくすると若干大きくなる事も分かった。しかしながら、散乱長の大きさは実験値に比べて遥かに小さい値であった。これの違いはクエンチ近似に起因するものと、クォーク質量が物理的クォーク質量よりもまだかなり大きいことの両方によるものである。(2)同様な計算を行い、ストレンジクォークを含むハイペロンと核子の問のポテンシャルを研究した。核子間ポテンシャルと比較すると、クォーク質量依存性が小さいが、スピン依存性が大きいという結果が得られた。また、クエンチ近似であるが、散乱長も計算された。ハイペロンに関しては実験が非常に少なく、QCDからの第1原理計算で得られた結果は非常に重要なものである。(3)今までは主に中心カポテンシャルを計算していたが、それ以外の成分の1つであるテンソルカポテンシャルも計算した。中心力に比べると、引力が強く、また、斥力芯が無いという興味深い結果を得た。(4)以上の計算はクエンチ近似の計算であったが、研究代表者、研究分担者も所属する研究グループであるPACS-CS Collaborationが生成した力学的クォークを含んだ格子QCDにより生成されたゲージ配位を用いて、同様な計算を行った。今年度は比較的クォーク質量の重い2点での計算であったが、中心力に対する斥力芯や中間引力、テンソルカ、ハイペロンポテンシャルなどが計算された。クエンチ近似と比べると、斥力芯が数倍程度高くなるという結果が得られている。その理由に関する研究は今後の課題である。(5)今までの研究は全エネルギーはゼロに近い状態に対するポテンシャルの計算であったが、結果のエネルギー依存性を調べるために、クエンチ近似を用いて、約50MeV程度のエネルギーでのポテンシャルを計算した。波動関数の形は非常に異なるが、ポテンシャルの形はほとんど変わらないという結果を得た。このことから、ポテンシャルのエネルギー依存性、あるいはそれと等価なエネルギーに依存性しないポテンシャルの非局所性はあまり大きくないと結論できる(6)格子QCDの数値計算だけではなく、2次元の解けるモデルを使って、波動関数やポテンシャルの性質、特にエネルギー依存性を調べた。低エネルギーではエネルギー依存性が小さい事、また、
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