研究概要 |
2009年度の研究実績は以下の通りである。 (1)力学的クォークの寄与を含んだゲージ配位を用いた数値シミュレーションで、核力ポテンシャルを計算した。特に、ポテンシャルの質量依存性を調べ、物理的なクォーク質量での核力ポテンシャルの計算に向けた第一歩を踏み出した。また、遠距離でのポテンシャルの計算の収束性を詳細に調べ、計算方法の改良の検討を開始した。 (2)中心力だけでなく、テンソル力を計算する方法を確立し、実際に計算した。中心力の場合とは異なり、テンソル力ポテンシャルには顕著な斥力芯が存在しなかった。 (3)波動関数を用いて核力ポテンシャルを計算する方法の集大成として1つの論文をまとめ、発表した。 (4)ハイペロンを含むポテンシャルを計算し、バリオン間ポテンシャルを一般的に解析する研究を開始した。特に、u,d,sの3つのクォークの質量が等しいフレーバーSU(3)の極限でポテンシャルを計算し、そのSU(3)の表現依存性を調べ、SU(3)一重項ポテンシャルは斥力芯ではなく、引力芯を持つことを見いだした。 (5)演算子積展開の方法を用いて、ポテンシャルの近距離での振る舞いを解析的に調べる方法を提案した。その方法を用いて、核力ポテンシャルが斥力芯を持つことを示した。
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