平成20年度も引き続き、マウントジョン天文台の61cm望遠鏡、南アフリカの1.4m望遠鏡(IRSF)、その他の世界的な観測網と連携して銀河中心のマイクロレンズ事象の追尾観測を実施した。今シーズンの銀河中心のマイクロレンズ事象からは、惑星発見の確率が高い高増光率の事象や変位の観測された事象が20以上あった。現在2007年以前のデータも含めて、鋭意解析を行いつつある。 これらのうち、OGLE 2005-BLG-71とMOA 2007-BLG-400からは、低質量のM型矮星に付随する木星質量以上の巨大惑星が発見された。今後こうした惑星の発見が続けば、惑星形成モデルに重要な制限を与えることが期待される。2008年のデータからも、すでに複数の惑星候補が見つかっており、解析・論文発表の準備が進んでいる。 また、モンテカルロシミュレーションを実施し、2006年の高増光率事象の観測から惑星の検出効率を求め、惑星の存在確率に制限を課することに成功した。まだ、事象の数が少なく、モデルとの比較は難しいが、今後統計が増えるに従い、よりきつい制限をつけることが可能となることが期待される。これらの成果は、論文のほか1月にパリで行われたマイクロレンズ国際会議、天文学会・物理学会などで発表している。 また、データ解析のための計算機を強化する一方、観測者の負担を軽減してするため、遠隔モニター可能な気象観測機器などを導入して、今後遠隔操作による観測を可能にするための準備を開始した。
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