引き続き、ニュージーランド・マウントジョン天文台の61cm望遠鏡(B&C)、南アフリカ天文台の1.3m赤外望遠鏡(IRSF)を使ったマイクロレンズ追尾観測を実施した。特に、MOA II 1.8m望遠鏡によるマイクロレンズサーベイとリアルタイム解析と密接に連携し、惑星発見の可能性の高い高増光率事象や惑星によると思われる変位(アノーマリー)が検出された事象を集中的に観測した。特に、IRSFは赤外線観測の特性を生かして、大口径望遠鏡の補償光学系などによる追尾観測との橋渡しとして活躍した。これらの望遠鏡による観測と、他の追尾観測グループによる観測を合わせて、今シーズンは4個の惑星候補事象が発見され、詳細な解析を実施中である。また、昨年度までの観測で得られたデータの解析も進み、MOA-2009-BLG-319事象に土星よりやや小さな質量の惑星が発見された。 これらの追尾観測の合間に、副産物としてトランジット惑星WASP-5bの観測を実施した。TTV (Transit Timing Variation)の解析を行い、もう一つの惑星の存在に制限を付けることに成功した。また、こうした観測と平行して、将来の遠隔観測に備えた全天カメラなどの環境モニターを整備し、ネットワークを通じて日本から状況をモニターできる様にした。 こうした研究成果は、マイクロレンズ国際会議や学会などの他、まとまったものから順次学術雑誌に投稿している。
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