研究概要 |
この研究の目的はダークマターの候補であるアクシオンをRydberg原子を用いて探索することである。そのため超電導磁石、極低温クライオスタット、レーザー装置、などからなる測定装置を京都大学低温科学センターにおいて組み立てて設置した。探索方法はアクシオンが磁場中で転換するマイクロ波をRydberg原子に吸収させ、吸収した原子のみ選択的に電離して検出するというユニークな方法である。以前の研究で、この選択的電離の際に浮遊電場がbackgroundの大きな原因になることがわかっていた。そこでこの研究では、この浮遊電場の影響が少ないと予想されるカリウム原子のRydberg原子(主量子数100近く)を作り、そのStark効果について調べた。またそのRydberg原子生成の安定化のために、あらたに最近可能となった青色のダイオードレーザーを導入した。また希釈冷凍機での冷却テストを行い,その性能を確認した。 この方法にとってさらに重要なことは検出効率をあげることである。アクシオンを吸収したRydberg原子の選択的電離はStark shiftをうまく利用してパルス電場を用いて行う。そのため原子ビームを冷却し速度をそろえてパルス化することで、飛躍的に検出効率をあげることができることがわかった。この方法のための装置の設計し計算をした結果、アクシオンがダークマターだとした時のアクシオンに十分な感度を持つ実験方法を明らかにすることができた。この方法はダークマターアクシオンに検知する唯一の方法である。
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