研究課題/領域番号 |
20340055
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 純 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30130876)
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研究分担者 |
稲垣 知宏 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 准教授 (80301307)
国広 悌二 京都大学, 理学研究科, 教授 (20153314)
初田 哲男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20192700)
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10259872)
関口 宗男 国士舘大学, 理工学部, 教授 (80246834)
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キーワード | クォーク / グルーオン / QGP / 閉じ込め / QCD / エンタグルメントエントロピー |
研究概要 |
クォーク・グルーオン系の高密度、高温度での振る舞いをQCDに基づいて調べるために、今年度は以下のような研究を行った。 1)高密度QCD系:格子QCDシミュレーションは、有限密度では符号問題のために大変困難になる。このシミュレーションに対し、ReWeighting法、カノニカル法などが提唱されているが、いずれもクオーク行列の行列式をいろいろな化学ポテンシャルの値で計算する必要が起こる。行列式の計算は、行列サイズが大きくなると膨大な計算量になるため、少しでも行列を圧縮することが重要である。このような方法はKSフェルミオンでは発見されていたが、ウイルソンフェルミオン系では存在しないと思われていた。我々はこのような定式化を発見し、そのプログラムを開発し、比較的小さな格子上で実際に計算を行った。上記符号問題は、虚数化学ポテンシャルでは起こらない。我々は、改良型ウィルソンフェルミオンを使った初めてのシミュレーションを行って相転移線を求め、それを実化学ポテンシャルに外装して有限密度系の相構造を調査した。 2)有限温度QCD系:低温度では、クォーク・グルーオンはハドロンの中に閉じ込められているが、高温になると非閉じ込め相へ転移する。しかし、その時のダイナミックスは未だ明らかではない。閉じ込めにおいては、赤外領域の振る舞いが重要なはずであるので、グルーオン伝搬関数の小さな運動量領域の計算を行った。特にこのときに、グルーオン場の位相的構造が重要になる。我々は、グルーオン場の渦構造を取り除いた場合に、磁気的伝搬関数が大きな影響を受けることを明かにした。 3)今後、有限温度・有限密度系の振る舞いをQCDに基づいて進めるためには、大規模な数値シミュレーションが必要となる。このための計算環境として、マルチコアー上での格子QCDコードの開発を行った。
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