研究概要 |
北半球最大の極高エネルギー宇宙線観測装置である宇宙線望遠鏡(Telescope Array, TA)実験のための「スタンダードキャンドル(較正用標準光源)」として、射出方向可変で可搬なUVレーザー光源を製作する。TA実験は世界で初めて高エネルギー加速器ビームで較正される「宇宙線カロリーメーター」であるが、この加速器は固定され射出方向も鉛直のみであることから、較正できるのはカロリーメーターのごく一部である。そこで本研究によって可搬・方向可変のUVレーザーを製作し、TA実験の全望遠鏡を較正し、エネルギースケールの系統誤差15%以下、望遠鏡の点像分布関数と光軸の系統誤差0.1°以下を達成する。 本年度は、レーザーなどの装置を経緯台に固定するための台を設計し製作した。経緯台制御系の調整、および遠隔運用試験を行った。本装置は頻繁に設置と移動を繰り返す予定であるため、方向調整法を確立した。そのポインティング精度は0.1°以下であることを確認した。合わせて、TA大気蛍光望遠鏡のシミュレーションプログラム・イベント再構成プログラムを基にレーザー光によるイベントのシミュレーションプログラム・データ解析プログラムの作成に着手した。
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