研究概要 |
1. π^+π^-原子(A_<2π>)の寿命測定に関しては、2010年度末までに21,000個のπ^+π^-対を検出した。その結果、DIRAC実験のプロポーザルに書いたように、A_<2π>の寿命を9%の精度で得ることができた。この値から、S-波のππ散乱長差|aO-a2|を4.3%の精度で求める事ができた。 2. 最終的なA_<2π>の寿命は、τ=3.15(+0.02,-0.19stat)(+0.20,-0.18sys)・10^<-15>sec散乱長差は、|aO-a2|=0.2533(+0.0080,-0.0078sta)(+0.0077,-0.0072sys)M_π^<-1>を得た。 この結果は、現在Phys.Rev.Lettersに投稿中である。 3. s-クォークを含むKπ原子(A_<Kπ>)の測定も同時に行っており、その寿命とK_π散乱長差|a_<1/2>-a_<3/2>|を現在解析中である。 4. 上記のππ散乱長aO、a2を分離して値を得るために、もう一つの散乱長の組み合わせである(2aO+a2)を寿命測定と同じDIRACスペクトロメータを使って測定する。この散乱長の組み合わせは、A_<2π>の準安定p状態と基底S状態間のLamb-shiftから得ることができる。ラムシフト測定の準備として、準安定P状態の生成原子数を測定しなければならないが、そのバックグラウンドとなるS状態原子数をBe標的を用い行った。 5. ラムシフト測定の準備実験であるP状態の原子数を測定実験をAddendumとしてCERNのPS/PSPプログラム委員会に提出していたが採択され2011年度のピームタイムが5月から11月まで認められた。
|