CERNで行っているDIRAC実験(PS212)は、π^+π^-やπKなどの二中間子原子の寿命の測定から二中間子間の散乱長を求め、それをカイラル摂動計算の散乱長と比較する事で低エネルギー状態でのQCDを検証する目的で始められた。この科研費の計画はDIRAC実験の第2フェーズで主にπK原子の寿命測定を主題としているが、π^+π^-の統計精度を上げる事も含まれている。 (1)高速・高い位置分解能・高い時間分解能を持つSciFiトポロジカルトリガーホドスコープの完成とDIRAC実験への実装 (2)π^+π^-原子の寿命測定の統計精度を上げ5%以上の精度でππ散乱長を求める (3)πK原子の存在の確認と寿命測定。sクォークの入った散乱長を得る事でSU2からSU3への拡張になる。 (4)π^+π^-原子のLamb-shift測定の可能性を見極め、薄いBe標的で準備的なS波原子数測定を行う。寿命測定だけでは、散乱長はアイソスピンの0と2の結合したa0-a2で得られる。Lamb-shiftから得られる2a0+a2を測定する事で、個々の散乱長を分離でき理論との比較をより精度よく行える。
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