研究課題/領域番号 |
20340060
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
松木 征史 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (50037941)
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研究分担者 |
城戸 義明 立命館大学, 理工学部, 教授 (40224993)
WADE Naylor 立命館大学, 理工学部, 講師 (30411028)
西村 智明 立命館大学, 理工学部, 講師 (80388149)
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キーワード | 動的カシミア効果 / 極低温機器 / レーザー励起 / リドベルグ原子 / マイクロ波単一光子検出 / マイクロ波共振空洞 |
研究概要 |
量子真空状態の揺らぎ効果は種々の物理現象として現れるが、中でも重要なものは所謂カシミア効果である。静的カシミア効果は実験的に確認されているが、空洞の壁が振動した場合に生じると考えられている動的カシミア効果はまだ確認されていない。壁のパラメトリック振動により、空洞中に実の光子が生成されるという動的カシミア効果は、宇宙のブラックホールの蒸発(またホーキング輻射)とも深く関係すると考えられ、幅広い影響を持つ重要課題である。本研究は実験的にこの効果を検証しようとするもので、特に二つの実験技術を用いる。まず、空洞壁を実効的に振動させるために、空洞中に半導体薄膜を挿入し、パルスレーザーを照射して伝導体に電子を励起し、それによりマイクロ波を反射させる。また、検出効率の高いマイクロ波単一光子検出器としてリドベルグ原子を用いる。装置系は黒体輻射効果を低減するために100mK以下の極低温に保持される。 今年度は、以上の目的を達成するために独自の装置系を設計・製作した。特に、液体Heや液体窒素などの寒剤を用いないで極低温環境を実現出来るようにパルスチューブを用いて4Kまでの冷却を達成し、さらに希釈冷凍機で100mK以下まで装置系を冷却するクライオスタットを設計・製作した。この装置系には、原子ビーム、リドベルグ原子励起生成用レーザー、パルスレーザー用ファイバー系、などが導入・設置され、内部にはマイクロ波共振空洞、リドベルグ原子の選択的フィールドイオン化装置系、半導体薄膜、などが装着されている。これらの装置系製作と同時に、最も効率的なマイクロ波光子検出を行う為に量子論的数値計算を行い、TE波とTM波の共振について特徴を明らかにし、実験の最適設定条件を得た。
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