研究課題
宇宙の化学進化の解明には、複数の元素の存在量を測定し、その生成と拡散のプロセスを追うことが必要である。X線を用いた、超新星残骸、銀河、銀河団等の観測では、元素量とその存在比を正確に測定することが可能であり、現在X線天文衛星「すざく」等を用いた観測的研究を行っている。今年度は、観測的研究としては、我々の銀河系、および系外銀NGC253について「すざく」および「XMM-Newton」「Chandra」等の手段を駆使して星間物質の化学組成と温度、その空間分布に着目した解析を行い、論文として発表した。酸素輝線に着目した化学進化研究の可能性を強くしめせたと考えている。非抵抗型マイクロカロリメータとしては、誘電体温度計型に注力している。昨年度確認した酸素置換型STOを用いた温度計により、X線のエネルギーを測定するカロリメータが製作可能であることを示し、学会発表および論文発表を行った。平行して他の複数の誘電体についても温度特性の測定を続けており、今後さらに有望なものがでてくる可能性もある。読み出し系の開発として極低温マイクロストリップ回路の開発、フィルター回路の製作と、プローバー等の評価環境の整備,また極低温化にGHz帯の信号を導入できる環境整備を行った。これらを用いて、放射線検出器として動作させるには、冷凍機等の不調もあり時間が不足であったが、要素はすべて整ったといえる状況にあり、今後発展させていきたい。
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