研究課題/領域番号 |
20340079
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
萱沼 洋輔 大阪府立大学, 工学研究科, 客員教授 (80124569)
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研究分担者 |
田中 智 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80236588)
高田 恭孝 独立行政法人理化学研究所, 播磨研究所・石川X線干渉光学研究室, 専任研究員 (90261122)
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キーワード | 反跳効果 / 光電子スペクトル / 硬X線 / 内殻励起 / 価電子励起 / フェルミ端移動 / 化合物結晶 / ブロッホ電子 |
研究概要 |
(1) 固体における反跳効果の温度依存性 固体に含まれる軽元素の内殻光電子スペクトルにおける反跳効果の温度依存性の測定を行った。300Kと15Kの光電子スペクトルをアルミニウムとグラファイトで比較した結果、デバイエネルギーが大きいグラファイトでは反跳効果による光電子ピークの幅の変化が非常に小さく、デバイエネルギーが小さいアルミニウムでは顕著な変化が観測された。デバイモデルを用いた理論計算によって定量的に実験結果を再現することに成功し、単一元素で構成された物質については実験・理論の両面において反跳効果の物理を明らかにすることができた。論文執筆中である。 (2) 吸着分子への適用 表面に吸着した分子のダイナミク家や化学結合の性質を明らかにする目的で、軟X線領域における反跳効果の高分解能測定を行った。CO分子については、高輝度X線照射によるダメージが顕著であり、高精度のデータを得られなかった。現在、他のモデルの分子の検討を行っている。 (3) 化合物結晶の価電子帯プロッホ電子の反跳効果 遷移金属や希土類の酸化物のような軽元素を含む化合物結晶の価電子帯光電子スペクトルにおける反跳効果の理論的枠組みを作った。プロッホ軌道が、質量の異なる構成元素の原子軌道の1次結合で出来ているとき、価電子帯の硬X線光電子スペクトルがその部分状態密度を反映してシフトすることを示した。これはサイト選択的情報を得る新たな実験手法となりうる。現在、論文投稿準備中であり、実験的測定の計画を立てている。
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