研究課題
重い電子系超伝導体CeCoIn_5(T_c=2.3K)は、超伝導転移が1次相転移であり、さらには、強磁場・極低温領域で、この常伝導一超伝導転移に加え低温で新たな超伝導相が出現する。この新奇超伝導相はPauli limitを超える強磁場中において現れるFFLO状態であることが期待されている。また、多くの実験結果はCeCoIn5が量子臨界点近傍に位置することを示しており、特異な磁気的性質が現れる。我々はCeCoIn_5の低温・強磁場領域での新たな超伝導相においてab面内およびc軸に磁場を加えて主にIn(1)サイトでのNMRスペクトルの磁場および温度依存性を詳細に測定した。これまで明らかにしたことは、1. Pauli lilnitを超える強磁場で下での超伝導状態での局所スピン帯磁率温度依存・磁場依存性を明らかにした。特に、a)一次相転移での局所スピン帯磁率の不連続変化をナイトシフトの変化として観測したのは最初の例であり、b)超伝導状態でのスピン帯磁率の抑制の磁場依存性は特異であること、2. H//α-axisに比べてH//c-axisの場合には、FFLO相はH-T図で極めて狭い領域にのみ現れ、BCS相との境界線の磁場依存性はほとんど無いこと。3. H//α-axisの磁場印加でIn(2)サイトにおいて内部磁場を受けた特徴あるNMRスペクトルが観測され、非整合磁気秩序の出現がNMR実験により明らかになった、こと等である。磁気秩序が新奇超伝導相内でのみで出現する特異な磁気状態であることは今後解明すべき重要な問題点である。
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Physica B 403
ページ: 1144-1146
International Conference Series of A1P, CP 1003
ページ: 3-7