研究概要 |
1. 既知の4f電子量子スピン系YbAl_3C_3の発展研究 ・ YbAl_3C_3とLuAl_3C_3以外にも同型のRAl_3C_3(R=Dy, Er, Tm)を作成し、構造相転移がこの系列物質に共通して存在し、四極子秩序と関連性が低いことを明らかにした。 ・ YbAl_3C_3と同型であるが構造相転移を起こさないCeZn_3P_3の単結晶を作成し、この系がS=1/2XY型スピン系であると共に、三角格子による幾何学的フラストレーションを内在する系であることを明らかにした。さらに、約0.8Kで磁気秩序した後、フラストレーションに起因すると考えられる複雑な磁気相図を明らかにした。なお、これらのことから、YbAl_3C_3での量子スピンダイマー形成には、構造相転移が関与していると考えられる。 ・YbAl_3C_3と類似していると予想されるCeAl_3C_3を作成し、その磁気特性を測定した。この系の磁気的性質はYbAl_3C_3と似ているが、基底状態は磁気秩序状態となることを明らかにした。YbAl_3C_3との比較により量子スピンダイマー形成の起源についての知見が得られると予想されるが、試料の品質、サイズともまだ十分とは言い難く今後の課題となっている。 2. 新規4f電子量子スピン系物質の探索及び伝導電子と相互作用する量子スピン系の研究 重い電子系物質Yb_2Pd_2Snで、Pdの一部をNiで置き換え、化学的圧力を印加することを試みた。この結果、この系では近藤効果とRKKY相互作用だけでなく幾何学的フラストレーションも関与していることを明らかにした。さらに、以前の報告にある圧力により出現する二つの量子臨界点の一方には、ダイマー形成が関与している可能性を指摘した
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