研究概要 |
本研究の目的は,強相関物質のひとつであるκ型BEDT-TTF系有機モット絶縁体に対して,これまで困難であったモット転移のキャリア数制御を,エックス線照射による分子欠陥生成よって行うことである.バンド幅制御型モット絶縁体に対してキャリア数制御手法を確立することにより,多変数(バンド幅,キャリア数,不均一)空間でのモット転移の臨界性と秩序相(超伝導,反強磁性)の競合変化を明らかにすることができる.実験可能な変数を新たに導入することで,有機系モット絶縁体を舞台にした新超伝導体の創製を含むモット系物性開拓への新展開を図る.さらに有機物質で発現する多彩な強相関電子状態の不純物効果,たとえば,電子相分離形成の実空間変調,3角格子フラストレーション系でのスピン液体の凍結,電荷秩序の融解などの未開拓な現象を発現,操作することを目指す
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