定常磁場中で0.1ケルビン、パルス磁場中で0.6ケルビンまでの極低温度(ケルビンは絶対温度の単位で摂氏0度がおよそ273ケルビン)で測定のできる強い磁場中(ネオジム磁石表面磁場のおよそ数十倍)で多くの周波数(マイクロ波帯から遠赤外線)を用いて測定のできる電子スピン共鳴(略してESR、MRIで用いる核磁気共鳴と同様な磁気共鳴の一種で電子スピンによる磁気共鳴)装置を開発した。これらの装置を用いて、量子効果(量子力学に基づく効果)の顕著な量子磁性体や磁気的相互作用の競合するフラストレート磁性体の測定を行い、前者では高い磁場領域でこれまで観測されてこなかった新たなシグナルを観測してこの磁性体の新たな相転移の起源を明らかにし、後者ではESRシグナルの現れる磁場の変化を見出した。
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