研究概要 |
引き続き,ブリルアンゾーン境界X点のフォノンクエンチによりプロトタイプ構造相I4/mmmから,応力場によって空間群のAbmaとBmabのスイッチが可能な強弾性相への構造相転移を起こすアルキルアミン遷移金属ハロゲン化物の単結晶育成を行い,メチルアミンおよびエチルアミンの塩化物についてFe,Ma,Co,Cu,Znの10種類の単結晶育成条件を決定し,得られた単結晶に対し,多重極限下(低温,強地場,高圧)で熱力学量,輸送特性を測定した。 取り分け昨年度の実績報告で明示した本年度の課題「交差相関の検証」を目指した。そのためには,構造が未決定の相について空間群を決める必要があり単結晶X線回折実験も精力的に行った。以上の結果,次のような成果が得られた。(EACuC,EAFeCを重点的に研究した。紙面の都合上EACuCとEAFeCの結果のみ箇条書きする。) EACuC 1)V相の空間群を決定した。IV-V相転移はJahn-Teller機構が関与する。 2)VI相の空間群を初めて決定した。V-VI相転移は,group-subgroup 2次相転移である。 3)VII相の空間群を初めて決定した。この相は中心対称性を持たず,誘電異常と整合する。 4)3)の結果は変位型誘電相転移を示唆する。 5)VIII相の空間群を初めて決定した。この相も中心対称性を持たずマルチフェロイックの証拠を得た。 6)VIII相における磁場中誘電率を測定した結果,交差相関の証拠を得た。 EAFeC 1)III相は中心対称性を持たない。II-III相転移は秩序無秩序型と変位型の混成相転移である。
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