研究概要 |
本課題申請前において,研究代表者は,K_2NiF_4型の構造原型相を有する有機化合物について,全く新しい「多重強秩序系(マルチフェロイックス系)」の可能性について追求していた。その結果,強誘電/強磁性相関による一般的にマルチフェロイソクにとどまらず,強弾性をも併せ持っ「応力場交差相関機能を有する新規マルチフェロイックス系の開拓」に関する具体的研究を行うめどが付いたため,本研究を開始した。すなわち,網羅的(AA)_2TX_4系単結晶の育成と複合極端条件下物性測定により,「ME効果」,「磁気転移同時構造相転移」,「巨大色変化」の機構解明と並行して,応力場交差相関機能を有する新規マルチフェロイックス系の開拓を行うものである。具体的手法の概要は以下の通りである。 (1)遷移金属TだけでなくAAの炭素数も網羅的に変化させ,TX_2面間距離を制御することによってT-T間の異方的磁気相互作用を制御した,網羅的単結晶育成と,単結晶促成法の開発。 (2)単結晶X線構造解析,磁化,磁化率,分極,誘電率,歪み,弾性率,比熱,AC伝導率等の応力下測定。応力場中の磁気・誘電特性,磁場中の構造・誘電特性,電場中の構造・磁性の測定。 (3)格子及び磁気的カイラリティー情報の把握と構成原子間の電荷移動状態把握。 (4)バンド計算及び磁性理論による機構解明及び物質設計に関するサポート。
|